豆腐の定義(大豆変身外伝08)

 豆腐にはいくつかの種類が存在するが、主なものは木綿豆腐、絹ごし豆腐、充填豆腐である。濃いめの熱い豆乳(呉)に凝固剤(にがり等)を加えて固めたものが、絹ごしである。これを崩して上澄み(ゆ)を分離して固め直したものが木綿になる。冷ました豆乳に凝固剤を加え容器に詰めて加熱凝固させたものが充填である(写真)。

 充填は充填絹ごしとも呼ばれ、絹ごしとほぼ同じといえる。また、機械化に適しており、他に比べ日持ちがよい。木綿でも、水分が多い(上澄みの分離が少ない)ものをソフト木綿と区別することがある。木綿の凝固直後を、おぼろ豆腐または寄せ豆腐という。扱いにくいため、一般的に流通していない。

 これらに、新しい規格が加わることになった。大豆固形分の含量である。10%以上の場合、従来通り「?豆腐」と名乗ることができる。10%未満・8%以上なら「?調整豆腐」、「8%未満・6%以上」で「?加工豆腐」になる。数値は異なるが、豆乳や牛乳のJAS日本農林規格)を参考にしたのだろう。

 豆腐は、永い歴史を持つ食品である。なぜ、改めてこのようなシステムを導入することになったのだろうか。理由は廉売防止対策だ。スーパー等の販売店で、目玉として廉売されることが多い商品である。その場合、不当な値下げを要求されるケースがあった。豆腐メーカーは大豆固形分の少ない水増し豆腐製造の誘惑に駆られても不思議ではない。

 大豆固形分が少なくても、外観から判断できない。そうであっても、おいしい訳はない。頻発すれば、豆腐離れを加速しかねない。新規格が加われば、水増しは困難になる。農林水産省は上記状況を把握している。重要な指摘として、適正な商取引を推進する指針を表明している。

 配慮したいのは、小規模な街の豆腐屋さんである。基本的に、原料は国産大豆を使用しているだろう。外国産大豆の場合、「遺伝子組換え不分別」という表示が必要になるためだ。外国産でも、分別流通(IPハンドリング)は「遺伝子組換えでない」と表示できる。大メーカーは入手できても、街の豆腐屋さんは困難かもしれない。

 (独法)国民生活センターは、市販豆腐を分析し結果を公表している。豆腐の大豆固形分の値は、木綿(12.9〜16.6%)、絹ごし(10.4〜13.8%)、充填(9.9〜13.8%)である。個々に分析する必要はない。普通に製造していれば、10%以上の豆腐になる。くれぐれも、水増しなどしてはいけない。

 街の豆腐屋さんの仕事は厳しい。さらに、原料大豆は高騰している。その結果、廃業が加速している。消費者は、価格だけで豆腐を判断してはいけない。